TECHNOLOGY

天龍×西陣織

西陣織を纏った竿

京都西陣で発祥した平安時代より続く、日本を代表する絹織物の最高峰『西陣織』。
カーボン繊維を織り上げる織元の技術と、この織物をパイプ状へ仕上げる天龍の技術が合わさり、伝統技法と最新技術で釣竿のデザインは一層の深みを帯びる。


西陣織とは

京都府の西陣地区に端を発し、500年以上もの歴史を持った技法であり、着物の帯などをはじめ最高峰の織物である。
仕上がるまで多数の工程を要し途方もなく手間が掛かるが、その洗練されたデザインは他の追随を許さない。
【西陣】の名は、室町時代に起こった「応仁の乱」の後、西軍の本陣が置かれていた地区に戦火を逃れていた職人たちが戻り、織物業を再開したことが由来とされている。
また、この西陣織工業組合の組合員によって織られ認められたモノでなければ『西陣織』の呼称は許されない。


西陣織を釣竿へ

求めたのは日本の伝統技法と最先端技術の融合であり、釣竿技術の新たな挑戦でもあった。
一般的なカーボンクロスと違い、幾重にも編み込まれたカーボン織物をパイプ状に加工し釣竿へ仕上げる事は容易な事ではない。
トライ&エラーを繰り返し、職人達の技術によって西陣織を釣竿へ使用することが可能となった。


西陣織に込められた想い

【織元の想い】

「気品」「優美」「繊細」「華麗」「優雅」。 どの言葉をもってしてもこの実物を表現するには足りない。
手にとった人が息をのみ、身に着けた人が必ず言っていいほど、 「優雅で高貴な気持ちになる」「色の調和が上品で綺麗」と絶賛した。
これこそ『西陣織』である。
この美しい織物は、室町時代から500年余り続き、今もなお引き継がれている。
しかし、着物需要が年々減少し、織屋も最盛期の10分の1に減少していた今、 繊細で優雅な西陣織の技術を次世代に継承していくために、何をすべきか…。
時代に合った新しい素材で、新しい分野に使用できるような織物を開発したいと思った。
そこで目を付けたのが、炭素繊維(カーボンファイバー)である。
開発に10年余りをかけ、試行錯誤の末に繊細な文様を表現した織物開発に成功した。
何十年先、何百年先にも、その時代に合った「気品」「優美」「繊細」「華麗」「優雅」を考え・つくり、 継承できるよう取り組んでいきたいと思う。


【天龍の想い】

国内生産である以上、日本独自の『文化』を取り入れたモノを必要としていた。
和風といった表現は簡単に出来る事だが、それだけでは国産である必要がない。
必要としていたのは、職人が手仕事で伝えてきた『技』であり『文化』である。
和竿であるならば竹を使えばよい。
しかし現代技術を駆使し、挑戦してく事を優先するのが天龍の職人だ。
カーボン素材を使用した『西陣織』に出会った時、その衝撃は大きかった。
伝統と格式高い西陣織を、現代技術の炭素繊維で編み上げるという事は、まさに挑戦であり、 その姿勢は職人として同じ方向を見ていると思えたのである。
この炭素繊維で織り上げた西陣織を、釣竿に仕上げるという事は容易な事ではない。
形となった今、これこそ日本独自の文化を継承したモノであり、求めていたモノと感じている。
釣竿は素材によって進化してきた。今まさに新たな扉を開いたのではないだろうか。